定期的に届く郵便物や次から次へと従業員から預かる資料を、とりあえず引き出しに入れて、ファイルボックスに突っ込み、積もり積もって見るのも嫌になっちゃった経験はありませんか?
会社で扱われる文書の多くは会社法、法人税法、労働基準法などの各種法律で保存期間が定められています。定められた保存期間を満たさず文書を廃棄してしまうと、税務調査が入った場合に追徴課税が発生し、企業としての信頼を失いかねません。また、従業員や取引先とトラブルにならないよう書類の保管はきちんとしたいですね。
ある程度の規模になると部署ごとに別れていきますが、小さな会社ですと総務・人事・経理を一人でこなす会社も珍しくはありません。全てを一人で管理されている場合でも、まずはそれぞれの書類がどの分類なのかを整理しましょう。下の一覧では、法定保管年限がそれぞれ異なることもお分かりいただけると思います。
領域 |
文書・書類名称 |
法定保管年限 |
総務 |
定款 |
永久 |
株主名簿 |
永久 |
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登記・訴訟書類 |
永久 |
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公官庁等の登録・許可証 |
永久 |
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権利証、有価証券・出資証 |
永久 |
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株主総会議事録 |
10年 |
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取締役会・監査役会議事録 |
10年 |
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安全衛生委員会議事録 |
3年 |
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人事 |
就業規則改廃届 |
定めなし |
労働者名簿 |
3年 |
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出勤簿等労働時間書類 |
3年 |
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社員身元保証書 |
5年 |
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雇用保険被保険者資格取得・離職票 |
4年 |
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従業員の各種届出 |
2年 |
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社会保険:健康保険・厚生年金連書類 |
2年 |
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労働保険:労災請求書類 |
3年 |
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保険料徴収納付関連 |
3年 |
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給与 |
賃金台帳 |
3年 |
扶養控除(異動)申告書 |
7年 |
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源泉徴収簿 |
7年 |
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経理 |
決算書・付属明細書 |
10年 |
税務申告書類 |
10年 |
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会計帳簿の重要書類 |
10年 |
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仕訳帳・出納簿・売掛台帳等 |
7年 |
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決算関連書類 |
7年 |
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領収書・預金通帳等現預金書類 |
7年 |
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請求書注文書等取引証憑 |
7年 |
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電子取引記録 |
7年 |
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消費税関連 |
7年 |
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監査報告 |
5年 |
※上記の書類は、限定列記でなく、例示したものです。
法令の改正によって保管年限が変更されることがあります。
特に税法による法人申告関係書類はしばしば追加・変更されます。
それぞれ保管場所を定め、すぐ取り出せるようにファイリングすると仕事も効率的になります。ラベルを貼り期間、内容、分類などを表示し、わかりやすく色別けするのもお勧めです。
定款などの登記書類は永久保管する書類は穴を開けずにポケットファイルを使い、鍵付きのキャビネット等に収め、紛失することがないよう施錠すると良いでしょう。
経理書類は決算年度ごとに、月別や取引先別に管理します。請求書は振込依頼書なら支払期限が分かるように、その他の請求書や領収証は立替払い、自動引き落とし、クレジットカード、現金など支払方法で別けておくと支払漏れが防げ、帳簿も付けやすくなります。
給与関係書類は社員ごとにファイリングし、在職中と退職した社員とに分類し、個人情報のため鍵付きキャビネットで確実に保管します。
必要な時に慌てて探さなくても良いように、誰が見ても分かるように整理整頓していきましょう。
文書と言えばもはや紙だけではなく、デジタル文書もありますね。電子帳簿保存法の施行に伴い、電子取引を行った情報は電子的に保存することが義務付けられます。
パソコンで保存するときもファイル名を社内ルールで統一し、フォルダを区分して整理し、必要に応じてパスワードや閲覧権限の設定をします。
社内サーバーの他にテレワークにも対応できるクラウドサービスを利用するのも便利です。定期的なデータバックアップなどの情報管理も注意が必要です。
電子的に保存する場合、それを再現するアプリソフトや周辺機器も保管対象になりますので、ソフトやシステムを入れ替える際は注意しましょう。
保管することも重要なのですが、どんどん増える大量の書類でキャビネットはいっぱいになってきます。一定期間が過ぎたら文書保存箱に移し替えていきますが、そのまま積んでいくとオフィスが段ボールに占拠されてしまいます。直近1年位をオフィス保管し、その他は外部倉庫保管を利用するのが良いでしょう。
年に一度、書類廃棄日を設け、書類を整理し保管期限が過ぎたものは廃棄します。
廃棄は少量であればシュレッダーで、大量に処分するには専門業者に依頼して溶解処理します。外部に依頼する場合は、回収から処理が完了するまで情報漏洩が発生しないよう、信頼できる業者を選定し、立ち合いをするなど適切に処理することも大切です。
文書の管理、書類の整理は仕事を円滑に進めていくための基本ですね。デスクの上に積まれたままの書類を整理したら、新しいアイディアがひらめくかもしれません。
文書の管理でお困りの事業者様は、経理や労務をアウトソーシングして社内の事務処理を軽減し、書類の山を解決につなげていきませんか。