この時期になると、住民税の通知書を給与明細と一緒か、事前に渡される、あるいはご自宅へ届くという方もいらっしゃるかと思います。通知書に納付額が予め記載されてますし、給与から勝手に引かれているというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、実際にどう計算されているか分からない、そもそも住民税について良く分からないという方が多いと感じております。
今回はそういった方に対して、そもそも住民税とはどのようなものなのか、どう計算されているのかについて、前編と後編に分けそれぞれ解説していきます。
住民税は、個人の収入に対してかかる税金の1つです。収入に対してかかるものというと所得税を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。もちろん同じ性質の税金ですが、所得税は国へ、住民税は都道府県と市区町村へ、それぞれ違う場所へ納めることになります。分類としては所得税=国税、住民税=地方税となります。
住民税は、6月~翌年5月までを1つの期間とし、前年分の収入に対する住民税を納めます。つまり、後払いという扱いになります。例えば、2022年6月~2023年5月で納める住民税額については、2021年1月~2021年12月の収入を基に計算されます。算出対象期間と納付期間が違ってくるので注意が必要です。
住民税の計算は、基本的には所得税の計算と同じですが6つのステップを踏んで計算されます。順に確認していきましょう。
【合計所得金額-損失の繰越控除=総所得金額】
上記の計算式で算出することになりますが、合計所得金額とは年間の収入から経費や法的控除額を差し引いた金額です。確定申告をした人であれば前年度の確定申告書で確認ができます。給与所得者であれば、会社から交付される源泉徴収票で確認ができます。
住民税の計算においても、所得税のように一定の所得控除(所得額より差し引ける額)が認められてます。控除できる金額は所得税の所得控除とは異なり、以下の項目について控除が可能です。
・雑損控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・医療費控除
・小規模企業共済等掛金控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
【総所得金額(①)-所得控除額の合計(②)=課税所得額】
上記の計算式にて算出します。
【課税所得額(③)×税率(10%)=税額控除前の所得割額】
上記の計算式にて算出します。
【税額控除前の所得割額(④)-税額控除の額=税額控除後の所得割額】
上記の計算式にて算出することになりますが、税額控除については以下の通りです。
・配当控除
・寄附金税額控除
・外国税額控除
・住宅借入金等特別税額控除
・配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
・調整控除
【税額控除後の所得割額(⑤)+均等割額=住民税の額】
これでやっと住民税額を計算できたことになります。
いかがでしたでしょうか。
今回は住民税についてとその計算方法についてご紹介しました。
後編では住民税を納める方法についてと転職・退職や就職した場合についてについてお話していきます。