企業がビジネスを遂行するためには、さまざまな支出が発生します。基本的には事業のために支出したものは経費ですが、経費として計上できるか迷われることも多いと思います。今回は経費として計上できるもの・できないものについて解説します。
経費とは企業が事業活動を行う際に発生する費用を指します。売上原価となる仕入のほかに、従業員を雇用するための人件費や、文房具やコピー用紙の購入などの消耗品費、客先を訪問するための交通費、事務所の水道光熱費など、さまざまな経費があります。
税務では「損金」と言いますが、会計上は費用となるものでも税法上で損金にならないものもあります。売上から経費を引いた利益に対して課税されることから、税法上認められている範囲で経費として計上することにより、法人税の納付額を低く抑えることができます。一般的に「経費で落とせるかな?」という会話は、税法上の損金に算入できるか、という意味で使われていることが多いでしょう。
会社が支払ったものなら何でも計上できるわけではなく、事業との関連性があるかが重要です。また、経費として計上する際には領収書やレシートと照らし合わせ、帳簿を付けていきます。電車やバスの運賃、ご祝儀や香典など領収書が発行されない場合は、日付・金額・支払先・内容などをメモし、出金伝票を作成します。そして、これらの経理書類は適格に保存されていなければなりません。
損益計算書をみると、経費となるものの種類は多くあることがわかります。内容や用途から適切な勘定科目で計上します。以下で経費科目の一部をご紹介します。
取引先や得意先との打ち合わせや接待にともなう飲食代や手土産代、祝い金などが挙げられます。金額や頻度が一般常識の範囲内であれば問題ないですが、接待交際費は不正計上が起きやすく、税務調査でも厳しくチェックされる傾向があるため、資料は確実に保存しましょう。
公共交通機関やタクシー代、通行料、駐車場代、ホテル宿泊費などの出張旅費などがあります。職種によっては頻繁に発生するので面倒がられますが、交通系ICカードや専用クレジットカードで決済するなど、きちんと精算し経費に計上しましょう。
10万円未満のパソコンや事務用品、業務用の消耗品購入費用は消耗品費として計上できます。10万円を超える場合は資産計上し、所定の方法で減価償却します。
切手代、携帯電話の使用料、インターネット接続料金、サーバー利用料などがあり、近年はインターネット関連の費用が多くなっている会社が増えています。
ダイレクトメール発送費、広告掲載費、展示会出展料、社名ロゴ入りグッズの制作費用など、広く会社名や商品サービスを宣伝するためにかかる費用が挙げられます。
事業との関連性がない支出は経費として認められない場合が多くなります。プライベートな出費との混同には注意が必要で、業務時間帯であっても個人の飲食代や私的な買い物、通勤用のスーツは経費になりません。また、やむを得ず支払うことになった場合でも交通違反の罰金や延滞税などは損金として認められません。
役員給与や、接待交際費、寄付金、同族会社間の取引、債務が確定しない費用などを計上するには一定の条件がありますので、顧問税理士に相談するようにしましょう。
経費が多ければ課税される所得が減って、結果として納める法人税を減らすことができます。プライベートに近い支出でも、具体的な売上につながる経費として正当な理由付けが可能なら、経費として認められる場合もあります。ただし、売上に対し経費が多すぎると、赤字になり銀行からの借り入れができず、あらゆるリスクに備えることもできません。経営状態を見ながら、どのように経費を使っていくか戦略的に判断していく必要があります。 弊社では経理代行だけでなく、税務についてのご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。