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2022.02.21
【経理コラム】従業員の退職時に必要な手続き

これから人の異動が多くなるこの季節は、従業員が退職することになったがどのような手続きが必要か、というお問い合わせが増えてきます。会社の方で行う手続きはいくつかあり、提出先や期限がそれぞれ異なります。遅れてしまうと退職する方へ迷惑を掛けてしまうことになりますので、気持ちよく送り出すためにも、必要な手続きはもれなく、速やかに行うことが大切です。

主な手続き

主な手続きは次のようなものがあります。

  • 社会保険の資格喪失の手続き
  • 雇用保険の資格喪失の手続き
  • 住民税の手続き
  • 離職票の発行
  • 源泉徴収票の発行
  • 退職証明書の発行(退職者の求めに応じて)

退職するまでには通常1ヶ月くらいの期間があるので、その間に退職にともなう書類の作成や届出等を滞りなく済ませましょう。

退職する従業員に確認すること

前段として従業員が退職するときは、はじめに本人から退職する旨の申し出があり、話し合いのうえ退職日や業務引継ぎのスケジュールが決まります。このときに必ず退職届を受け取ることが必要です。従業員が退職後に雇用保険から給付を受けるときに、退職理由が本人の意思による自己都合と、会社都合とでは条件が異なるため、のちにトラブルにならないよう退職届を提出してもらいましょう。また転職先が決まっているかどうかで必要な手続きが異なってきますので、退職後の進路と、退職後に発行する書類を郵送するため、転居を予定されている場合は新しい住所も確認しておきましょう。

従業員から受け取るもの

退職の際に健康保険被保険者証を従業員自身のものと、扶養者のものもあれば併せて回収します。これは社会保険資格喪失手続きする際に必要になります。

社員証や会社から貸与しているパソコンやスマートフォン、制服、名刺、業務で作成した企画書やプレゼン資料も外部に持ち出さないよう受け取りましょう。

社会保険の資格喪失の手続き

退職と同時に健康保険と厚生年金保険の資格を失うことになります。「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」に健康保険被保険者証(本人と被扶養家族の分)を添付して、日本年金機構(窓口は年金事務所)または協会けんぽ、健康保険組合に提出します。提出期限は退職日の翌日から5日以内です。

退職後の健康保険は次の転職先が決まっている場合はその会社の健康保険に加入しますが、決まっていない場合は次の選択肢があります。

  • 国民健康保険に切り替える
  • 任意継続制度を利用する
  • 対象者の家族の扶養に入る

年金保険は転職先が決まっている場合はその会社の厚生年金保険に加入しますが、転職先が決まっていない場合は退職者自身で国民年金に切り替えます。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150407-02.html

雇用保険の資格喪失の手続き

「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」の2つを、会社(事業所)を管轄するハローワークに、退職日の翌日から10日以内に提出します。

「雇用保険被保険者離職証明書」の提出には添付書類として出勤簿やタイムカード、賃金台帳、退職届などが必要になります。退職者が退職後に失業保険を受給する予定である場合に、その手続きで必要となる「離職票」をハローワークから交付してもらうために提出する書類です。離職票が交付されたら速やかに退職者のもとへ郵送してあげましょう。退職者が離職票を必要としない場合は不要です。

https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohohiSoshitsuLink

住民税の手続き

従業員の住民税は通常、会社が従業員の前年の所得額に対する住民税を、6月から翌年5月にかけて毎月の給与から年12回に分けて天引きして納付しています。これを特別徴収と言いますが、退職後の残額の納付をどう扱うかは退職日によって違ってきます。

6月~12月に退職する場合は退職者に次のいずれかを選択してもらいます。退職後1か月以内に転職する場合は転職先の会社で引き続き特別徴収することができます。転職先が決まっていない場合は、退職者が自分で居住する市区町村に納付する普通徴収に切り替えるか、あるいは最後に支払う給与または退職金から住民税の残額を一括徴収することになります。

1~5月に退職する場合は原則一括徴収することとなっています。

いずれの場合も「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成し、引き続き特別徴収する場合は退職者に渡し転職先へ提出してもらい、それ以外の場合は退職者が居住する市区町村へ提出します。

源泉徴収票の発行

退職者が転職先で年末調整を受けるときや、自分で確定申告するときなどに給与所得の源泉徴収票が必要になります。退職までに支払った給与や賞与の額や、所得控除の合計額、源泉徴収した税額などを記載して、退職後1ヶ月以内に退職者に必ず発行します。

まとめ

最後に退職する従業員に会社で預かり保管している雇用保険被保険者証と年金手帳を返却します。今回は割愛しましたが退職金が支払われる場合は金額の計算と支給、退職者には退職所得の受給に関する申告書を作成し提出してもらうなどの手続きも加わります。このように退職時には、退職する従業員から受け取るものと会社側から渡すものがいろいろあります。もれなく進められるよう状況に応じて必要なものを整理し、チェックリストなどを使って確実に行いましょう。

弊社では、上記のような手続きの代行業務も請け負っておりますので、お困りごと等ございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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